漫画から学ぶ「チーム&リーダー」~BECK編~

漫画から学ぶ「チーム&リーダー」~BECK編~

Clock Icon2011.11.16

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こんにちは!おおはしりきたけです!

前回は、ワンピースを参考に漫画から学ぶ「チーム&リーダー~ワンピース編~」という記事を書かせていただきました。今回は、漫画BECKについて書きたいと思います。先週の11月11日に放送された金曜ロードショーでもBECKの実写映画が放送されていたので、BECK自体は知っている方も多いのではないでしょうか。

BECK(34) <完> (KCデラックス)

■BECKとは

既に連載は終了していますが、全34巻発売されており、累計発行部数は1200万部を超えています。バンドという集合体を扱った青春漫画です。物語の内容は以下の様になってます。

平凡な毎日に不安を持っていた主人公の少年・田中幸雄(通称:コユキ)は、南竜介との偶然の出会いによって、音楽の世界に入り込むことになる。南竜介・田中幸雄を中心に、バンド:BECK(ベック)・英語名:Mongolian Chop Squad(モンゴリアン・チョップ・スクワッド、M.C.S)が結成され、失敗・挫折を繰り返しながらも、音楽への信念を原動力に一歩ずつ前進してゆく様を描く。

Wikipediaから抜粋(http://ja.wikipedia.org/wiki/BECK(漫画))

■BECKの登場人物

BECKのメンバーは以下のメンバーがいます。

  • 田中幸雄(コユキ):Vocal&Guitar:天性のヴォーカルであらゆる人を一聴でうならせる才能の持ち主
  • 南竜介(竜介):Guiter:天才的なギターのテクニックを持つ。日本語が苦手
  • 千葉恒美(千葉):Vocal&MC:ムードメーカー。ワールドクラスの人を惹きつける先天的な能力がある
  • 平義行(平くん):Bass:日本人離れしたファンキーなベースひく。BECKのリーダー
  • 桜井裕志(サク): Drums:コユキの同級生。ドラムは粗削りだが毎回伸びしろが半端ないと言われている ()内は漫画での呼び名

■BECKとXP

XPとは、KentBeck氏らが考案し、提唱しているソフトウェアの開発手法です。その基礎は以下の4つの価値で考えられています。

  • コミュニケーション
  • シンプルさ
  • フィードバック
  • 勇気

BECKもメンバー間での緻密な「コミュニケーション」を大切にし、竜介がアコースティックギターでベースとなる曲を作る「シンプルさ」、メンバー全員でスタジオに籠ってからの「フィードバック」、そして時には曲を全て変更する「勇気」。見事に4つの価値を体現しています。これはXPを実践していると言ってもよいのではないでしょうか!もしかしたら作者のハロルド作石さんは、KentBeckからタイトルのBECKを付けたのかもしれません。

■どんなチームか

○努力家の集まり

上記の登場人物の紹介文で見ると、「な~んだ、ただの天才の集まりじゃん」となってしまいますが、BECKのメンバーは努力を惜しみません。BECKはライブバンドです。レコーディングであれば良いとこ録りして切り貼りするということができますが、ライブで常に100%のパフォーマンスを出すには、才能だけではどうにもなりません。日々の努力が大切です。千葉はMC修業のためにストリートの大会に出場したり、サクは関西インディーズ界を代表する死亡遊戯のドラマーに弟子入りしたりと、バンドに貢献したいため、各々技術力を上げるため日々努力しています。映画では2時間足らずでグレイトフルサウンドでの成功を扱ってましたが、コミックでは1998年~2006年の8年間、努力に努力を重ね、ようやく最後のアヴァロンフェスティバルでBECKの集大成を見せるといった感動的な話になっています。

○ケミストリーを大切にしている

ケミストリーと聞くと、二人組のデュオを思い出す方が多いと思いますが、ここで言うケミストリーは、「チームケミストリー」のことでチームとして高い能力を発揮して継続的に成果が出ている状態を「チームケミストリーが発生している」と表現されたりします。竜介のセリフで以下の言葉があります。

バンドはただ技術のある奴らだけ集まりゃあいいってワケじゃない"ケミストリー"が大切なんだ

これは、プロジェクトにも言えることだと思います。もちろんエンジニアの技術力が高いことはもちろん素晴らしい事です。ただ、成功体験のプロジェクトは、技術が高いだけではなく、チームケミストリーが発生していることが多かったと思います。チームケミストリーを発生させるためには「お互いの理解」「充実したコミュニケーション」「成功させるという信念」が大切だと僕は思います。

■どんなリーダーか?

○チーム力を信じている

BECKの中ではBassの平くんがリーダーです。グイグイ引っ張っていくタイプではなく、縁の下の力持ち的なリーダーです。以下のセリフは、平くんのBECKに対するセリフです。

もう神様が決定を下して俺たちはとりかえしのつかないところをさまよっているだけだとしても…… 俺はBECKの音楽に絶対的確信がある

もう一つ

でも気にしないおれは世間のいうことをきいて生きてんじゃない。 自分の直感に従って生きてんだ

漫画の中では、「BECKに平くんがいるのはインディーズ界の七不思議だって」と言われるほどのベーシストです。でも平くんはBECKというチームを信じて所属しています。リーダー自身がチームの力を本気で信じている。簡単そうに見えて結構難しかったりします。

○メンバーに対する細やかなフォロー

バンドメンバーの中では、やはり揉め事もおきます。嵐という悪いプロデューサーの陰謀で、コユキと千葉が仲悪くなったときや、竜介とコユキ、千葉と竜介などメンバー同士の揉め事が良くあります。そんな時でも常にメンバーに対し細やかなフォローを入れています。しかし優しいだけではなく、時に厳しくもあります。以下のセリフは、千葉がライブに遅刻してしまった時のセリフです。

どんな理由かあってもライブ本番に遅刻したり来ない奴はクビだ 「泣いて馬謖を斬る」ってことわざもある それで、BECKかつぶれるならそれはそれでおれはかまわない

厳しい!厳しいです平くん!このセリフがビシッ!と効いたのも普段のメンバーへの細やかなフォローがあってこそだと思います。

■まとめ

BECKは、ストーリーとしては王道そのものなのですが、細かいセリフの言い回しなどにこだわっており、すごく親近感の湧く作品です。BECKではケミストリーという言葉がよく出てきます。これはチームメンバーの相性だけでは出てくるものではありません。各々の技術力をベースの上に、「お互いの理解」や「充実したコミュニケーション」が相乗効果でケミストリーが発生しているわけです。「技術」、「心」どちらが欠けてもダメなわけです。

エンジニアも「確かな技術力」、「チームに貢献する心意気」を持っていれば、ケミストリーが発生しプロジェクトでも想定以上の効果が得られるのではないでしょうか。ただし、ケミストリーを期待して見積もりをしてはいけません。さらに営業さんが「今回のチームではケミストリーがXX%発生する予定なので、○○万円お値引き可能です!」とかならない様に気をつけましょう。

最後に、ニルヴァーナもライブをやったリザードハウスで、アメリカの観客を満員にしたケミストリー爆発している時の平くんのセリフです

すげえ!!この無敵感!!

こんな体験してみたいですね~

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